クマネズミの成獣(体長 約18~24cm)

クマネズミの成獣(体長 約18~24cm)

1.クマネズミの特徴・生態・発生箇所

1-1.見た目の特徴・生態

クマネズミの成獣は体長約18~24㎝です。クマネズミは繁殖能力が高く、生後90日で繁殖を始め、1頭が一度に約6頭の子ネズミを出産します。これを年間に約5~6回繰り返します。寿命は約3年です。

1-2.発生時期

クマネズミは年間を通じて発生しますが、主に10月~3月の寒い時期は、寒さをしのぐため建物へ侵入するため、建物内で発生しやすくなります。特に、1月~2月の真冬には発生がピークとなります。

1-3.運動能力に優れ、天井裏などの高所で営巣

クマネズミは運動能力が非常に高く、パイプや電気コードを伝って垂直方向の移動を容易に行うことができます。そのため、建物の天井やビルの上層階にも侵入し、生息、繁殖します

1-4.天井裏や壁内部の空洞部分から施設内へ侵入

クマネズミは外から建物内へ侵入し、主に天井裏や壁内部の空洞部分に住みつきます。そして、エサを求めて壁の穴やすき間などを通じて厨房や食材庫、店頭などに出没します。

もともと壁に穴やすき間が無い場合でも、クマネズミは石膏などでできた柔らかい壁は食い破って穴を開けることができるため注意が必要です。

2.クマネズミの有害性と被害

2-1.食材や商品をあさり、経済的損失をもたらす

クマネズミはエサを求めて厨房や店頭、食品工場、食材庫、倉庫などの食材、商品をあさります。精米や小麦粉、パン粉、肉類などが被害に合うことが多いです。

2-2.病原菌などの感染症を媒介

クマネズミはサルモネラ症、レプトスピラ症(ワイル病)、ツツガムシ病、鼠咬症(そこうしょう)など、食中毒をはじめとする感染症を媒介します。

・サルモネラ症

クマネズミの糞尿中のサルモネラ菌が食品に接して増殖し、これを飲食することで腹痛・下痢・発熱などの症状を引き起こす急性胃腸炎などの食中毒を発症します。

・レプトスピラ症(ワイル病)

クマネズミの尿から排泄されたレプトスピラ属の菌が水田や下水などに入り、そこに触れた人の皮膚の傷口などを通じて感染します。1~2週間の潜伏期間後、高熱、黄疸(おうだん)、筋肉痛、場合によっては視力障害を起こすことがあります。

・ツツガムシ病

クマネズミに寄生するツツガムシというダニに刺されることで、リケッチア属の細菌が媒介されて発症する病気です。1~2週間の潜伏期間後、高熱を発します。刺された箇所は潰瘍となって全身にも発疹が出ます。治療が遅れると播種性血管内凝固を起こすことがあり、致死率が高まります

・鼠咬症(そこうしょう)

クマネズミに直接咬まれることでネズミの口腔内に常在する病原体(モニリホルムレンサ桿菌、鼠咬症スピリルム)が感染して引き起こされる病気です。5~14日の潜伏期間後、悪寒、発熱、頭痛、嘔吐、筋肉痛、リンパ節の炎症、全身の発疹を発症します。

2-3.施設や設備を破壊する

クマネズミは伸びてくる歯を削るために食べ物以外にも物をかじる習性があります。石膏でできた壁や電信配線、ガスホースなどはかじられすいため注意が必要です。内壁に穴を開けられると、新たなネズミの侵入口となります。また、配線やガスホースをかじられると火災発生のリスクが高まるため、必ず防ぐ必要があります。

2-4.異物混入事故・不快感・風評被害・営業停止処分を招くリスク

クマネズミの排泄物や個体自体が食材や商品に混入する異物混入事故を招くことがあります。
また、クマネズミのにおい、排泄物、あるいは個体自体が目に付くことで、消費者に不快感を与えることはいうまでもありません。
これらの状況が商品回収を免れない事態風評被害を招き、結果的に大きな経済的損失につながる可能性もあります。衛生状況によっては行政による営業停止処分を招くリスクもあります。

3.クマネズミの効果的な駆除方法と予防対策

3-1.侵入口を正確に特定する

クマネズミは、屋根裏や壁の内部から室内へ侵入します。そのため、屋外や排水から侵入するドブネズミと比べて侵入口を特定するのは簡単ではなく、専門性を要します
効果的に駆除するには、什器など設備の裏側に隠れた壁や天井裏の調査などをしっかりと行い、まずは侵入口を正確に特定することが重要です。

日本防疫では、専門の技術者が暗視カメラによる調査(夜間のクマネズミの行動を調査)やファイバースコープによる調査(狭い箇所の調査)を実施しております。どうぞお気軽にご相談ください。

3-2.殺鼠剤による駆除が効果的

クマネズミは、学習能力が極めて高いネズミで、粘着トラップ(捕獲罠)を避けて歩行します。最も効果的なのは殺鼠剤(さっそざい)と呼ばれる毒餌による駆除です。
ただし、殺鼠剤を用いた駆除も、クマネズミは学習能力と警戒心が高いため、場合により効果が出づらいことがあります。確実に駆除するには、クマネズミの行動パターンを観察し、殺鼠剤をクマネズミに食べさせる技術、そして、効果の度合いを正確に観測できる視点がとても重要です。

3-3.施設に侵入させない

建物の屋根や壁に穴、すき間がある場合はそれらがクマネズミの侵入口となります。また、配線やガス管などの導入口周辺も壁に隙間が無いか、要チェックです。穴やすき間は、パテ、セメント、金網、鉄板などで封鎖しましょう

3-4.クマネズミを寄せ付けない

クマネズミはエサを探して施設内に侵入します。施設内にエサとなる食材カスなどのゴミは放置されていませんか?日々の清掃もとても大切です。

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