左:クロゴキブリの成虫(体長 約3~4cm)
右:クロゴキブリの卵(大きさ 約1×0.5cm)
1.クロゴキブリの特徴・生態・発生箇所
1-1.見た目の特徴・生態
クロゴキブリの成虫は体長約3~4cmで光沢のある黒褐色をしています。
生活史は、卵期間が31~47日、幼虫期間が84~112日、成虫の寿命が4~5ヶ月で、産卵回数が約17回です1回の産卵で卵を一つを産み、そこから約20匹の幼虫が産まれます。
つまり、単純計算で1匹のメスから340匹の幼虫が産まれることになります。
1-2.発生時期
一年を通して発生する害虫ですが、成虫の活動が最も活発な時期は5~9月です。
1-3.下水に生息し、排水設備や老朽化した建物などに発生
クロゴキブリは下水内に多く生息しています。そして、排水設備が古くなった建物、ボイラー室、ゴミ置き場などに出現します。
食品スーパーなどでは、売り場の裏側の従業員通路や納品口、食材加工場でも発生しがちです。
1-4.水気のあるところなら屋内でも営巣
クロゴキブリは、基本は建物内に住み着くことはありません。ただし、水漏れして水溜りができた屋根裏や床下など、水気のあるところには巣を作ることがあります。
2.クロゴキブリの有害性と被害
2-1.食材や食品への異物混入
ゴキブリはエサを求めて食材・食品へ近寄ります。そのため、ゴキブリの駆除・予防対策を行っていない、もしくは行っていても十分な効果が出ていない施設では、ゴキブリが食材・食品へ異物として混入するリスクがあります。
2-2.不快感・風評被害・営業停止処分を招くリスク
ゴキブリの発生は人へ不潔感や不快感を与えることはいうまでもなく、こうした状況は風評被害を招くこともあります。結果として大きな経済的損失につながる可能性もあります。
さらに、発生状況によっては行政による営業停止処分を招く可能性もあります。
2-3.病原菌やウイルスなどを媒介
クロゴキブリは、下水やゴミ置き場など不潔な箇所に営巣し、営巣箇所と食品、食器を行き来します。そのため、消化器系の感染症の病原細菌、急性灰白髄炎(ポリオ)ウイルス、赤痢アメーバなどを媒介します。さらに、ゴキブリの体内にいる寄生虫が媒介されることもあります。
ただし、これらが実際に人体へ与える影響度については明確になっていません。
ゴキブリによる被害としては、疾病の媒介による害よりも、「異物混入」や「不快性」「風評被害」への対策がより重要といえます。
3.クロゴキブリの効果的な駆除方法と予防対策
3-1.生息箇所を正確に特定する
クロゴキブリを駆除するには、まずは生息箇所、つまり発生源を正確に特定することが必要です。クロゴキブリは主に下水に生息するため、マンホールの内部などを調査し、多数の個体を確認できた場合はそこが発生源と特定できます。
3-2.ピレスロイド剤による駆除が効果的
クロゴキブリは、生息箇所にピレスロイド剤という殺虫剤を施すことで最も効果的に駆除することができます。
ただし、不十分な殺虫処理を施すと、刺激を与えるだけになり、ゴキブリの群れがハチの子を散らすように営巣箇所から離散し、また新たな箇所に営巣箇所を増やしてしまうケースもあります。的確な場所に的確な量の薬剤を施す技術が必要です。
3-3.卵が付着していないか搬入荷物をチェックする
ゴキブリは外から持ち込まれて発生するケースもあります。よくある例では、施設内へ搬入される荷物の段ボール箱にゴキブリの卵が付着しており、施設内で卵が孵って増殖するケースがあります。
段ボール箱は保温性が高いためゴキブリの営巣箇所になりやすく、荷物が保管される倉庫内などでは、段ボールのすき間にゴキブリが住み着いて卵を産み付けることが多いためです。
荷物を搬入した際は、すぐに段ボールを解体し、卵(ページ上部の写真参照)が付着していないかをまんべんなく確認することをお勧めします。見つけた卵は潰すか下水に流すなどして、施設内で孵化することを未然に防ぐことが重要です。
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