ヒアリ 体長約2.5~6mm
2017年5月、兵庫県尼崎市の神戸港において、国内で初めてヒアリが確認されました。その後、続いて神戸市中央区、愛知県弥富市、大阪府大阪市住之江区でもヒアリが確認され、国内への侵入、定着が懸念されてます。
ヒアリは強い毒を持ち、北米や中国、東南アジアの各地で定着して大きな問題となっている生物です。このヒアリの特徴や見つけたときの対処法などをご紹介します。
ヒアリの特徴・生態・被害
赤茶色の小さな体が特徴
ヒアリ(火蟻)は、南米原産で体長2.5mm~6mmの小さなアリです。全体的に赤茶色をしており、腹部は黒味を帯びた赤色をしています。
刺されるとアナフィラキシーを発症する危険も
ヒアリは非常に強い毒を持っており、刺されると、その瞬間は熱さと激しい痛みを感じます。その後、症状の度合いにもよりますが、かゆみや腫れ、部分的または全身にじんましんを発症します。重度の場合はアナフィラキシー(重度のアレルギー反応)を引き起こし、呼吸困難、血圧低下、意識障害を発症して生命を脅かす危険を伴います。
ドーム状に地表が隆起した形の巣を作る
公園や農耕地などの開放的な裸地、草地の地中に巣(蟻塚)を作るケースが多く見られます。巣はドーム状に地表が隆起した形となることが特徴的で、隆起部分は高さ15cm~50cm程、上から見た直径は25cm~60cmです。巣の深さは約180cmと巨大です。
ヒアリを見つけたときの対処方法
地方環境事務所などの行政機関へ連絡を
ヒアリを発見した場合は、その旨を地方環境事務所などの環境省が所管する行政機関へ連絡しましょう。
地方環境事務所等連絡先一覧>
生きたまま持ち運ぶことは禁止
ヒアリは大変危険なため、決して素手で触らないようにしてください。また、ヒアリは特定外来生物であり、生きたまま持ち運んだり、飼育することは法令で禁止されています
採集方法
専門機関へヒアリか否かの確認を依頼するために採集が必要となる場合は、刺されないように注意し、次の方法で採集します。
1.まずは必ず殺虫処理をする
熱湯や市販のスプレー式殺虫剤をヒアリにかけて殺虫処理を行います。このとき確実に死んだことを確認してください。
2.以下のいずれかの方法で採集する
※ヒアリは死んでいても毒針が出ていて刺さる危険があるため、決して素手で触らないでください。
<簡易式の採集・保存方法>
セロハンテープにヒアリを貼り付けて、セロハンテープを折りたたんでヒアリをテープの中に閉じ込めます。このとき、ヒアリをつぶさないように注意してください。
<保存性の高い採集方法>
ピンセットでヒアリをつまみ、小瓶やフィルムケースなどに入れます。アルコール(消毒用エタノール、アルコール度数の高いお酒など)に浸すことができればさらに良い状態で保存することができます。
ヒアリに刺されたときの症状と対処法
症状は軽度から重度まで人それぞれ異なる
ヒアリの毒への反応は人によって異なります。刺されたときは20~30分ほど安静にし、体調の変化が現れないか注意しましょう。
軽度の場合:刺された部位の痛みやかゆみ
刺された瞬間は熱いと感じるような、激しい痛みが走ります。やがて、刺された痕がかゆくなり、10時間ほど経つと膿が出てきます。
中度の場合:じんましん
刺されて数分から数十分後には刺された部分を中心に腫れあがり、部分的または全身にかゆみを伴うじんましんが現れることがあります。
重度の場合:呼吸困難・血圧低下・意識障害
刺されて数分から数十分の間に息苦しさ、声がれ、激しい動悸やめまいなどを起こすことがあり、進行すると意識を失うこともあります。これらの症状が出た場合には、重度の即時型アレルギー反応「アナフィラキシー」である可能性が高く、処置が遅れると生命の危険も伴います。
症状に応じて適切に病院を受診する
軽度の症状のみで、症状が悪化する様子がなければ、ゆっくりと病院を受診しても大丈夫です。
容体が急変したときは、一番近い病院を受診します。救急受け入れのある病院でればなお良いです。「アリに刺されたこと」「アナフィラキシーの可能性があること」を伝えてすぐに治療をしてもらいます。
こちらの記事の参考・引用元:環境省自然環境局 制作・発行資料「ストップ・ザ・ヒアリ」より